ぽーの目にうつるすべてのものがキラキラでありますように
ぽーとの出会いは19年前の大雨の日、道路を横断する子猫を見つけ急ブレーキを踏み、無我夢中で片手ほどのガリガリでびしょ濡れのぽーを膝にのせて連れて帰りました。その日から父と私と車通勤し、毎朝玄関でキャリーに自分から入り、会社でも仕事の邪魔をしないでずっと待って付き合ってくれました。
「おりこうさんね~。」というと得意げなお顔で短い鍵しっぽの先にもう一つポロンとついたポンポンしっぽを大きく振り回しにゃ~といいました。とても賢く、かわいく挨拶する人、触らせてあげる人、おもちゃで遊んであげる人ちゃんと理解していました。写真を撮るためのお洋服モデルも、桜が咲くとおにゃんぽもなんでも私につきあってくれました。悲しいことや辛いことが起きるとそっと近くにきてくれて前に背を向けて座りしっぽでぽんぽんと叩いてくれました。僕を触りなよ。背中をなでるとうそみたいに大丈夫という気持ちになれました。ひっくり返してもおなかをなでてもほっぺをおもいっきり匂ってもどうぞどうぞと言ってくれました。そして大きくて優しくてくりくりおめめで見つめられました。私はそのおめめに笑顔でうつっていたいといつも思えました。
高齢になった父にもよく付き合ってくれ、眠れないときはそばに話し相手が欲しい時もそっと近くにいてくれました。頭をそっと父の手に近づけコツンとあてる仕草で、父はぽーの頭をなでる様子はとても心があたたかくなりました。
それだけ私たち家族につくしてくれた愛猫が年をとってきたなと感じはじめることは、悲しいことかもしれませんが、1日でも長くぽーが楽しく暮らしていくにはどうすればいいかひとつひとつ解決していけばいいのです。それは、ぽーが教えてくれました。年を重ねるということは、突然やってくるのではなくだんだんおとずれてくるものです。これまで過ごしたぽーとの関係を養っておくことの必要性を最近になってよく感じます。
この段差はのぼれなくなったよ。ここ通りにくいよ。このごはんは食べられないよ。こうしてくれたら歩きやすいよ。トイレはこっちがやりやすいよ。そのサインに気づいて過ごしやすいように合わせてあげることができるかが大切だと思います。
そして、ぽーはこれはダメではなく、先輩猫の過ごし方を参考にすることも大切です。なのでSNSや、便利グッズを知っておくこと、猫とたくさん触れ合っている人の話を参考にすることはいいことだと思います。
ぽーが年齢を重ねて13歳で歯肉炎が悪化しごはんが食べられなくなった時、全顎抜歯の手術をしました。歯がなくなってしまってごはんはどうやって食べるのかな?と思いましたがいろいろ取り揃えたらこれがいい。これはいや。(時にわがままもありますが…)栄養はこれ、おやつはこれ。すりつぶすといや。大きいと食べにくい。食器を買い替えて斜めの角度がついたものを見つけて解決したりしました。台の高さや、方向お水の温度もあります。いろいろな工夫やアイディアを駆使しました。でも、方向が決まると治療も薬も負担にならず、自分でごはんをもりもりたべて元気を取り戻してくれました。
本当に高齢の愛猫との生活は、愛猫をよく見て観察してわかってあげることです。必ず教えてくれます。今19歳になり振り返ると年を重ねるまでに、子猫から生猫になるまで築き上げてきた信頼関係が、高齢になってからの生活にいきてくるとおもいました。ぽーは、私に言えば何でも解決してくれると思ってくれることがとても大切だったと感じました。言葉がなくとも必ずなにかサインをだしてくれています。そこにしっかり気づいてあげることが大切だと思います。そして、私が、他の誰でもない自分が、愛猫ぽーのことをわかってあげる一番の人間だという自信を持つことです。
薬は、向き合ってだっこしてちょっと口角を抑えると薄く口をあけてくれるので喉へまっすぐ投げると負担なく呑み込めます。ごはんにかけたらごはんおいしくないでしょ?ちゃんと薬飲めたかわからないでしょ?ちゃんとわかってくれました。お口が気持ち悪かったらおいしいおやつでお口直ししましょうね。おしっこを失敗してもおしっこをしている様子をよく観察して、失敗した向きにトイレの方向を変えたり足が悪くなった時にトイレを買い替えたりシートを置くことで解決しました。
なんでもひとつひとつが大きな問題ではなく、ぽーと話し合って解決していこうね~!大丈夫よーといえること。
朝のにゃ~のおはようの一言とアイコンタクトで気持ちが通じ合える自信がある今、ぽーは世界で一番幸せな猫であると私が言えることが一番大切だと思いました。